アウトライナーとは何か
アウトライナーは、階層構造でテキストを整理するツールです。
書き出した項目に親子関係を持たせ、並べ替え、折りたたんで隠し、再び展開できます。この構造を自由に組み替えられることが、アウトライナーの特長です。構造を組み替えながら考えを整理していく使い方に向いています。
ノートアプリとの違い
ノートアプリの目的は記録です。思いついたことを書き留めて、後で検索します。テキストは基本的にフラットに流れていきます。見出しやリストで構造を付けることはできますが、その構造自体を操作することは想定されていません。
アウトライナーの目的は構造の操作です。項目の位置と深さを頻繁に変えることで、考えを整理します。ノートアプリで同じことをしようとすると、テキストのカット&ペーストとインデントの手直しが必要ですが、アウトライナーなら Tab キーひとつです。
どちらが良いという話ではなく、道具の得意分野が違います。素早くメモを取りたいならノートアプリが向いていますし、考えを構造化したいならアウトライナーが向いています。
アウトライナーが思考の整理に効く仕組みについては、アウトライナーで考えるで認知科学の観点から解説しています。
どんな人が使っているか
文章の構成を練る、企画やプレゼンの骨子を作る、プロジェクトを作業単位に分解する、複数の資料から情報を整理してまとめる。考えを構造化する場面で広く使われています。
こうした作業には専用ツールもあります。文章にはワードプロセッサ、プロジェクトにはタスク管理ツール、資料整理にはノートアプリ。それでもアウトライナーが選ばれるのは、構造の組み替えが速いためです。思いつくままに書き出して、あとから整理する。この繰り返しに向いています。
用途を限定しない点も特長です。同じアウトライナーで文章もタスクも調べものも扱えます。情報の種類が変わっても操作は同じなので、ツールを使い分ける必要がありません。
基本操作
どのアウトライナーにも共通する基本操作があります。
1. インデント / アウトデント
Tab で項目を右にずらすと、直上の項目の「子」になります。Shift+Tab で戻ります。
- 東京旅行
- 1 日目
- 浅草寺
- 築地でランチ
- 2 日目
- 明治神宮
- 渋谷
- 1 日目
「浅草寺を 2 日目に変えたい」と思ったら、アウトデントして 2 日目の下にドラッグするだけです。ノートアプリで同じことをしようとすると、テキストを手動でカット&ペーストしてインデントを直す必要があります。
2. 上下移動
項目を上下に動かします。子がいれば一緒に付いてきます。プレゼンのスライド順を入れ替えたり、タスクの優先順位を変えたりできます。構造を壊さずに位置だけ変わります。
3. 折りたたみ / 展開
子を持つ項目を折りたたむと、子が一時的に隠れます。
- ▶ プロジェクト A(中に 20 項目)
- ▼ プロジェクト B
- マイルストーン 1
- マイルストーン 2
- ▶ プロジェクト C(中に 15 項目)
100 項目あっても、折りたためばトップレベルだけで全体が見渡せます。表示する情報量を自分で制御できるため、アウトライナーは大量の情報でも破綻しません。
4. ズームイン
ある項目にズームインすると、その項目と配下だけが表示され、他のすべてが画面から消えます。Kosshi ではこの操作を「フォーカス」と呼んでいます。
3000 行のアウトラインでも、「第 3 章」にフォーカスすれば第 3 章の中身だけが表示されます。パンくずリストでいつでも上の階層に戻れます。
5. コンプリート
項目にチェックを付けると打ち消し線が引かれます。
- 買い物リスト
牛乳卵- バター
- 小麦粉
プロジェクト全体のマイルストーンと個別のタスクを、一つのアウトラインにまとめて管理できます。
こんな場面で使える
文章を書く
思いついたことをまず項目として並べます。この時点では順番も構造も気にしません。
- リモートワークの生産性
- 朝のルーティンが大事
- 会議が多いと集中できない
- 運動の効果
Tab キーで親子関係を作り、ドラッグで並べ替えると、構成が整います。
- リモートワークで生産性を上げる習慣
- 朝のルーティンを決める
- 運動を挟む
- 会議をまとめる
- 終業時間を決める
各セクションにフォーカスして本文を書き、フォーカスを外して全体の流れを確認します。構成に違和感があれば、セクションごと動かせます。本文も子として付いてくるので、カット&ペーストは不要です。完成したら Markdown でエクスポートできます。
プロジェクトを分解する
「Web サイトリニューアル」のような大きな仕事も、階層的に分解すると何をすればいいか明確になります。
- Web サイトリニューアル
- デザイン確定
ワイヤーフレームデザインカンプ- クライアントレビュー
- 実装
- トップページ
- レスポンシブ対応
- 公開
- サーバー設定
- 動作確認
- デザイン確定
最初から完璧に分解する必要はありません。進めながら項目を追加・分割し、完了したものからチェックしていきます。
調べものを整理する
複数の情報源を扱うとき、ソースごとにノードを作り、要点と自分の考えを子として書きます。
- テーマ: ○○に関する先行研究
- Smith et al. (2023)
- 主張: ○○は△△に影響する
- 方法: 実験群 200 名
- 自分のメモ: サンプルサイズが小さい
- Tanaka (2024)
- 主張: Smith の結果は条件 X でのみ再現
- 自分のメモ: この条件の違いが重要
- Smith et al. (2023)
1 つのソースにフォーカスして深掘りし、フォーカスを外して全体を俯瞰する。この切り替えによって、情報の整理と自分の考えをまとめる作業を並行して進められます。