KosshiKosshi

なぜアウトライナーを作ったのか

文章を書くのが大変だった

以前、技術書を一冊書いたことがあります。

いきなり頭から書き始めて、 構成を後から何度も書き直しました。 書き直すと別の箇所と合わなくなって、 またそこも直す。 大きな文章の構成を管理するのは難しいことでした。

どうすればうまく書けるのか調べているうちに、 アウトライナーというツールを知りました。 試しにブログ記事の構成をアウトライナーで組んでみたら、 スムーズに書き進められました。

アウトライナーだと、 細かい表現を気にせず書き進められます。 まず項目として書き出して、 構成は後から並べ替えられます。 文章の体裁を整えるのは最後でよくなるので、 考えを出すことに集中できます。 それ以来、文章を書くときはアウトライナーを使うようになりました。

ツールが増え続ける

文章を書くのとは別に、 仕事のメモやタスクの管理にも課題がありました。

個人で仕事をしていると、 複数のプロジェクトに同時に関わることがあります。 プロジェクトごとに使うツールが違います。 チームで仕事をする以上、 チームのツールを使います。 wiki、タスク管理、ドキュメント。 プロジェクトが増えるほど使うツールも増えます。

情報がツールごとに散らばっているので、 確認するたびに別のサイトやアプリを開く必要があります。 全体を把握しづらくなります。

かといって自分用のメモアプリに集約しようとすると、 プロジェクトのツールとの二重管理になります。 情報が分散して管理しきれなくなります。

いろいろ試して、 毎日 1 つの Markdown ファイルに全部書く運用に落ち着きました。 2026-04-10.md を開いて、 今日やること、考えたこと、メモを全部そこに書きます。 ツールの切り替えがなく、 テキストファイルなのでどこにも依存しません。 悪い方法ではありませんでした。

ただ、中身が増えてくると見通しが悪くなります。 先週のファイルから情報を探すのも面倒です。 折りたたみはエディタによってはできますが、 一部に絞って表示することはできません。 テキストファイルには構造を操作する手段がありません。

ここでもアウトライナーを使ってみたところ、 うまくいきました。 プロジェクトごとに項目を作って、その下にメモや TODO を書いていくだけです。 アウトライナーはテキストファイルと同じくらいシンプルなので、 プロジェクトのツールと競合しません。

プロジェクトのツールに加えて使う個人の道具は、 シンプルでないと続きません。 アウトライナーはその点で合っていました。

自分に合うものを探して

ただ、当時気に入って使っていたアウトライナーは、 Mac では快適でも、 iPhone での操作感には物足りなさがありました。 Web アプリをそのままモバイルに持ってきた形で、 ネイティブアプリの操作感とは差がありました。

Mac でも iPhone でも同じように快適に使えて、 テキストだけでなく画像も配置でき、 データが自分のデバイスにある。 その条件に合うアウトライナーが当時見つかりませんでした。

Kosshi を作る

新卒で入った会社で、同期と一緒にサービスを立ち上げました。 うまくいかずクローズすることになりましたが、 この経験を通じて、新しいものを作るという挑戦自体が楽しいと感じるようになりました。 自分で何かを作ってみたいと思い、2021 年末に退職しました。 ちょうどアウトライナーに熱中していた時期だったので、作るものはすぐに決まりました。

2022 年に Bike がリリースされました。 ネイティブアプリのアウトライナーを自分も作ろうとしていたので、 先を越されたと思いました。 ただ、自分が作りたいものとは少し方向性が違ったので、開発は続けました。

基本的な設計は当時から変わっていません。 1 つのアウトライン、ネイティブアプリ、自前の描画エンジン、サーバーなし。 ただ、生計を立てるためにフリーランスの仕事も並行しており、 そちらが忙しい時期が長く続いて、開発は断続的でした。 着手から 4 年、ようやく 2026 年にリリースしました。

個人の思考ツールとして

Kosshi は個人の思考ツールとして作りました。 複数のプロジェクトをまたいで、 自分のメモや考えをまとめておく場所です。 チームで使う wiki やタスク管理ツールを置き換えるものではなく、 それらと併用する個人の道具です。 コラボレーションはそれぞれのツールに任せて、 Kosshi はシンプルな道具であるようにしています。

Kosshi について

Kosshi は macOS / iOS 向けのネイティブアウトライナーです。 Apple のフレームワークで描画エンジンを一から構築しており、操作が遅延なく応答します。 データはデバイスにローカル保存され、iCloud で Mac と iPhone 間を同期します。 開発者のサーバーにデータが渡ることはありません。 買い切りで、サブスクリプションはありません。

基本操作についてはアウトライナーとは?を、機能の詳細はガイドをご覧ください。

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